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週刊少年フェニックス[不定期]

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不死蝶(横溝正史/推理小説/1958年発行)

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不死蝶(横溝正史/推理小説/1958年発行)


金田一耕助作品 本作は八つ墓村でも扱った洞窟、鍾乳洞での連続殺人
新本格的な鍾乳洞の迷路を活用したトリックはなく
証言からの推察、シチュエーションをベースに展開します
今回は手短に紹介♪ てか、幽霊座と同じ蒸発事件でもあるな…



長野県信州にて 射水町に住む矢部杢衛の人物調査の依頼を受ける金田一
その時 射水町ではブラジルから金持ちの鮎川マリとその母が滞在中
出発当日の朝に脅迫状を受け取る金田一
しかし、それにもめげずに金田一は射水町へと汽車に乗る
そこで頬に傷跡の残る男に話しかけられる 

車中にいた射水町の者達の会話から依頼主の次男が23年前、鍾乳洞にて殺害され
矢部家と敵対していた玉造家の娘が殺して底無し井戸に飛び込んだ事を聞かされる
教会の前に集まってる人々の情報から、君江がお参りしており、
君江とマリが玉造家に滞在している事を耳にして、例の傷男が「と、朋子!」と叫ぶ
矢部家の主、杢衛から鮎川君江の身許調査を依頼、
23年前に殺人を犯した朋子が自殺に見せかけて生き延び、
今日地元に帰還しているのではないか、と推測していた。
傷男「古林徹三」が叫んだ名前を思い出した金田一は激しく胸が騒ぐのであった…

一方、玉造家にも金田一と似たような脅迫状が届いた マリはパーティの準備、
そして朋子の姪の由紀子から23年前の事件の詳細を語る。
朋子は敵同士の矢部家の長男慎一郎と恋仲となり鍾乳洞の内部で駆け落ちしようとしていた
しかしそれを杢衛に知れて激怒、イザコザの末に英二は死亡、手には着物の片袖、
それは朋子のものであった。無論朋子は警察に無実を訴えたが聞き入れて貰えずに
絶望のあまり底無し井戸に身を投げた。
遺体は発見されずに書置きだけが残されていた…
「あたしはいきます。でもいつかかえってきます。
        蝶が死んでも、翌年また美しくよみがえってくるように」

マリのパーティが始まるが、君江が欠席、杢衛の抗議でマリの家庭教師に呼びに行かせたが
君江は部屋に忽然と消えた。由紀子は君江が無効の鍾乳洞の方に向かっていくのを見たと言い
鍾乳洞の入り口で君江の十字架を拾ったと話し、皆で捜索に乗り出した。

君江の靴跡とサンダルの跡を発見、そのまま底無しの井戸に合流する
マリに似た黒衣の女を見つけ、杢衛は朋子と断定し電灯を持って追跡する。
洞窟の奥から杢衛の怒声と女の悲鳴、間を置いて男の悲鳴が聞こえ静まりかえる
杢衛は鍾乳石で刺殺、その手には君江が被っていたベールが掴まれていたのだ…
そして、第二の殺人と惨劇は続いていく… 
金田一は真相にたどり着けるのか?



信州の事件といえば犬神家の一族が有名ですね
そのおかげで神埼署長と対面してもイザコザがおきずにすんでますw
その後に古林徹三が23年前の事件で嘘を付いていると発覚したが殺害され、
妻の峯子の死亡、峯子の兄宮田文蔵が自殺する!

ボディガードや教会の神父など片言を操る外国人に翻弄されつつも
やはりマリのアクティブな性格と行動が災いして疑惑の目が集中する、
価値観の相違もあって金田一が手紙の説明と、最後に説教するという…
名探偵として、日本人としての自負を全うするというオチは何か意外ですねw
「これが日本人のもつ愛情、自己犠牲なのです。わかりましたか」

最終的犯人は宮田文蔵 そしてマリが君江を演じていた 二人は共犯ではない
というか23年前の殺人は古林が実行犯、英二は峯子と古林と逢引するのを目撃、
それで英二を殺害、そして二人で朋子を犯人に仕立てる工作を実行する
杢衛もまた英二の様に峯子と逢引しようとしてる所を目撃され口封じで殺害、
峯子もまた強請で生活する古林を殺害して、ソレを兄文蔵に目撃されて…
この負の連鎖反応の恐ろしさといったらないなあ…

朋子の方はコーヒー王のゴンザレス氏に救われてブラジルに帰国、
ゴンザレスは朋子が死んだあとにマリを養女にしたのだが、
母の無実を証明する為に一人二役を演じて、日本の射水に舞い戻ってきたのだ…

この複数による犯行と動機の複雑性は今後の作品にもよく登場するようになります
ただし、横溝先生も新本格派のような複雑な犯罪工作を考案する能力も衰えており、
まあ仕方なしではありますが、本作は決して駄作ではありません!!!
皆さんも一読お願いします。。ノシ
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