映画版も紹介したいですが今回は漫画短編の方を紹介致します
昭和ガメラ8作品中のうち最高傑作と評されるのが本作
前作の対バルゴンは特撮描写は凄いが大人向けに舵をきり過ぎた
そして次回作の対バイラスは創意工夫を感じられる反面、低予算が過ぎた
そこにいくと本作は一作目の子供の味方の設定を守りつつ、スピーディな空中戦と
互いの駆け引きの見事な陸上戦のバランスの良さが傑作として評価された一因なのでしょう
さて本作の漫画版はあの「はだしのゲン」の作者中沢啓治氏の執筆
(そういえばウルトラマンの漫画も「オロチ」「漂流教室」の作者楳図かずお先生が執筆してたw)
この漫画を初見したのは別冊宝島ガメラ最強読本GAMERA永久保存版
全11作(ガメラ4真実/小さな勇者達/短編最新作を含まない)を完全網羅したレビュー本
その最後にオマケとして載っていたのが本作
まだ漫画家として未熟なのか、原稿が紛失してしまい雑誌からコピーしたのか、はたまた両方かw
かなりペン先の線が異様に濃く一部潰れている絵があって非常に危なっかしい構図になってます
けど後の名作「ゲン」を彷彿させるアクの強い戦いを魅せてくれます さて映画版との違いとは?
とある山村、高速道路計画の一環としてもみじ山の土地を買うべく
金丸家の長老に交渉へ向かう主人公堤(つつみ)と眼鏡課長
しかし三百年、先祖代々眠っている墓のような存在を開拓するのは言語道断だと拒否
その態度に堤は例え肥溜めの糞を掛けられてもこの場に居直ると開き直るw
どうやら主人公はインフラ整備によって日本は発展すると信じている模様(時代を感じるなぁ…)
長老の態度に半ば呆れるように宥める孫娘スミ子とその弟英一
そこに突然、地響きともにギャオスが出現! スミ子と課長を生きたまま食い殺す(ヒエー
英一少年に迫るギャオス! そこに颯爽とガメラ登場! 火炎放射をギャオスにお見舞い
しかしギャオスも負けじと超音波メスで右腕を半分切断 ガメラ咆哮!
そこに朝日が昇る 苦しむギャオスはその場から立ち去ろうとするが
ガメラに右足を喰い千切られる ギャオスはそれでもひるまず森の中へ退散
堤は太陽の日でギャオスの左足が溶解する様子を見て奴の弱点は日光であると付きとめる
ギャオス撃退の為に軍隊を要請したが戦車・戦闘機が全く通用せずそのままギャオスは
名古屋を襲撃!名古屋市民は血祭りに合い、街中は火の海へと化す、まさしく生き地獄!
テレビでその様子を見た英一少年は苛立ち、イスに当たりくるくる回す
堤はギャオスの弱点が火と日光であることと英一少年のイスでユニークな作戦を思いつく
それはホテル屋上の回転ラウンジの真ん中に血液を餌にしてギャオスを誘き出し
奴が乗った後に回転させて三半規管を麻痺させ平衡感覚のバランスを崩しつつ朝方まで待つ作戦
やぶれかぶれも良いところではあるが水爆利用を避けたい自衛隊は作戦を決行させる
長老はスミ子の敵討ちの準備をしていた ギャオスが作戦の罠に嵌り硬直状態のところを
目隠しでラウンジに乗って槍でギャオスの左目を突く!
しかしラウンジの過度な回転によって耐久性に限界が生じて炎上故障!
作戦は失敗に終わり長老は外に投げ出される
長老はガメラを呼ぶ為にもみじ山に火を付ける事を提案して息を引き取るのであった…
全てを失った英一少年は山火事になったもみじ山を見てガメラが来てくれる事を祈っていた
火に弱いギャオスは堪らず空中に飛びだし主人公らに襲い掛かる
その時にガメラ参上!両翼を空中アタックによる手刀で完全破壊させ動きを封じる!
止めに火炎放射でギャオスを完全に炎上させるのを見届けるとガメラは颯爽と立ち去る!
お礼を言う英一少年!堤は高速が完成したら金丸道路として命名しようと心に誓うのであった…
いやあ、このインフラ崇拝、後のリベラル漫画の金字塔を描いた人とは思えないw
時代が時代なんでしょうね…環境問題が取り沙汰されるのは七〇年代当たりなのも影響してますね
ちなみにこの長老、映画版では反対運動を交渉術として利用して金儲けをしようと企む
露悪的な爺さんとして描かれており、これは前作バルゴンの大人向けの流れを引き継いだのも有るのかなあ、と
でも孫思いであるのは漫画版と共通してます 最後はもみじ山をゆずっている当たりは同じです
漫画版 改めて読んでみるとかなり陰惨
これは登場人物が限定的なのも一因しているんでしょうけどね
映画版はモブキャラがバンバン死ぬんですけも
レギュラーがこうも立て続けに死ぬのがとてもツライorz
あっ映画版では女の子もおじいちゃんも死にませんから安心して下さいねw
当時の戦記漫画の影響でしょうか?かなり模倣してます
けどね、後のはだしのゲンを彷彿させる作風ではありますよ 中々面白かったです
無論、映画はもっと面白いので次回またレビューしようと思います デワデワ。。ノシ