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週刊少年フェニックス[不定期]

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幽霊男(横溝正史/推理小説/1974年発行)

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幽霊男(横溝正史/推理小説/1974年発行)

横溝ミステリレビュー第二弾「幽霊男」!! 
金田一少年だけでなくじっちゃんにも怪人モノがあり、
これ以外にも幾つか執筆しています 
本作はその代表ともいうべき佳作を紹介したいと思います!!!

正確には八つ墓村の多治見要蔵の30人殺しや、犬神家の一族の仮面の佐清という、
文字通り怪しい人達もいるにはいるのですが…
本作に出てくる怪人は江戸川乱歩や新本格派に登場する非人間チックな狂人が主役であり
そいつが美女を次々と殺害する、ポルノサスペンスの王道ともいうべき作品です

この頃の横溝先生は中期に入ると
「女王蜂」「三つ首塔」「悪魔が来りて笛を吹く」「悪魔の手毬唄」
等の傑作名作を執筆していましたがネタ切れとパターン化による難産が目立ち、
ソレによるイメージ脱却として所謂エログロを題材にした通俗小説に手を出します

その名も幽霊男! 正確には佐川幽霊男なんですがw
ソイツが神田神保町の裏通りにあるヌードモデル仲介業「共栄美術倶楽部」に現われる
依頼を受けた不人気スランプの女性モデルはその後、ホテルの浴槽にて殺された!

倶楽部の経営者に気弱な老医者に七光りの新聞記者、
妻と仕事を失った道楽者の男四人衆に女性モデル陣、
ストーリー的にはこの中に犯人がいる事は確かのようだが…
途中に金田一がホテルマンに変装するもホシを逃がして悔しがるなど精彩を欠くw
次々と殺される美女たち…犯人は誰だ!

本作のトリックは割かし最近では珍しくも無いパターンでして、
実は幽霊男は二人いて、一人は愉快犯、そしてもう一人が殺人犯と、
前者の犯罪を利用して後者が凶行に出るという話

コレには一工夫はあり、元々の語り手として変装した幽霊男は本作の主役を務めていて
口調は同じなのに、殺す時と殺さない時があるという、読者へのヒントが張られています
この手の倒叙ミステリ+叙述トリックの複合変形型は、
やっぱ当時の推理小説では既にあったのか、
ソレが災いして、あまり良い評価を得られなかったみたいです…

後は、中盤で殺された美女の切断された両脚を使ったアリバイ工作、
最初に見たのはマネキンで犯人がソレを遠方で本物だと嘘をついて
傍にいた同伴者に都合の良い方向に誘導するというコレもドッカでみた話でしてw
後はストリップ劇場にて蝋人形を偽装火事騒動で持ち運んだりとか…
けども、本作にはちゃんと伏線等がキッチリ張られているので
読者による犯人捜しも不可能ではない処が、巨匠としての意地と凄みを感じましたね!

ネタバレになりますが、愉快犯は建部健三、殺人犯は菊池陽介!
前者の動機は、自分を見下した社員達を見返す為に事件をでっち上げ計画を立てる
リアリティ向上と隠れ蓑要因として吸血癖のある画家津村一彦(途中急死)を利用して
作戦実行をするも変装が菊池にバレて自分も利用される立場に…
しかし変装で見せた差し歯の特徴から新聞社勤務の建部の父親からコレは茶番ではないか?
そして息子ではない誰かが美女を殺しているのではないか?と金田一に依頼され、
最後の犠牲者になる彼の恋人♀も当て馬に付き合っている事を告白されフラれるという…
本作でのピエロっぷりが涙を誘うキャラクターであります…
けど最後は吹っ切れて金田一に全てを告白するシーンにはチョッピリだけ感動w

その建部とは裏腹に別方向に突き進まんとするのが菊池陽介!!
元々は快楽主義的にモデル達を血祭りにあげていたのだが、
謎の女、ソレもマダムXが登場してからは彼女の復讐へと動き出す!
そのマダムXの正体は菊池の昔の女で三橋絹子、老医者加納三作に気が合った!!
この老医者、何と建部の彼女にも好かれていたので菊池の旦那、ジェラシーMAX!!!
二人に襲い掛かる直前にて金田一と等々力警部が現れて急に気弱になって言い訳w
等々力警部げきおこwタイーホされるという建部と違ってトホホな展開…
しかしソレをガン無視するかの如く、お熱いバカップルを魅せる老医者とマダムXであった…

なんていうか、幽霊男の真の正体って加納三作なんじゃ…
現実世界で天然系ラノベ主人公(建部)と鬼畜系エロゲ主人公(菊池)が、
リア充のモテ男(加納)に無意識に振り回され、そして自滅するという…
NTRサスペンスとして再評価されるべき作品なのかもしれませんw でわまた。。ノシ












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